wiki がブログほどには盛り上がりにくい理由
昨日のエントリでは比較的成功している wiki の利用例を取り上げましたが、今日は逆にあまり盛り上がっていないと思われる例を見ながら、その理由について仮説を立ててみます。
○ 「旅行ガイド」と「旅行ブログ」の違い
2005/07/07
ITmedia エンタープライズ:Wikiで作る旅行ガイドブックサービス「トラベルブログ クチコミガイド」開始
Wikiの仕組みの最大の特徴は、誰もが自由に情報を作成、改訂、編集することができる点。オンライン上の旅行ガイドブックをすべてのユーザーが編集者となって更新することが可能になる。オープンソースソフトウェアが、多くの人の手で改良されて発展してきたのと同様に、トラベルブログ クチコミガイドは、ユーザーによって作られる新しいタイプのオンラインガイドを目指すという。
wiki を使ったサービスの例がこのようにニュースで取り上げられることは多くないので、まずはこのサイトについて詳しく見てみました。(現在は上の記事公開時とはサイトの名称が変わっています。)
この wiki では様々な観光地のみどころや行き方、海外の場合はその国の歴史や通貨、気候など、これからその場所に行く人に役立つ情報を旅行者(ユーザー)自身の手で集めていこうという試みがなされています。
ところが、たとえば国内旅行について見てみると登録されているのは 4 箇所だけと、ユーザー参加型のメリットを活かして多くの情報を網羅している、とはいえない状況のようです。
ちなみにこの wiki を運営している会社は wiki を始める以前から旅行専門のブログポータルをやっていた様子です。
こちらの方は比較的更新する人も多いようなのですが、ブログの場合個人的な(主観的な)「感想」を書けばよく、一方「ガイド」の場合ある程度「客観的事実」を書かなければならない、という点でブログほど気軽に書けるものではないことにふと気がつきました。
○ その wiki は本当に必要か?
wiki で情報を集め始めたがすぐにやめた、という事例も見つかりました。
ゴルフを始めようとしましたが,近くの練習場の場所がわかりませんでした.皆様から,場所・営業時間・料金etc..の情報が集まれば素敵だと思います.同様に,ボーリング場,バッティングセンターなどの情報もまとまってると嬉しいです.
と、このような目的で開設された wiki のようですが、練習場の情報がまったく登録されないままトップページに以下のような記述が残されています。
下記のページを発見したためとりあえず保留
上のリンク先は「ゴルフ練習場ガイド/E*GOLF」というサイトで、ある企業がすでにそのような情報をまとめたサイトを提供していたという話です。
ちなみにこのサイトではゴルフ練習場を経営している人が自分の練習場を一覧に登録できるようにもなっています。
(これもある意味ユーザー参加型かもしれません。「ユーザー」とは少し違いますが)
上で挙げた旅行ガイドの件も恐らく同じだと思うのですが、このゴルフ練習場の件のように wiki がなくてもすでに目的とする情報を集約したサイトが存在するというケースは他にも多いのではないかと思います。
wiki を使った情報集約系のサイトがうまく盛り上がるかどうかのポイントとして、
- 今までそのような情報源がなかった
- すでにあったとしても、wiki を使ってユーザー参加型にすることによって情報の量、質をさらに高められる
という条件に当てはまっていないと、閲覧するにしても編集者として参加するにしてもメリットを見出しにくいのではないかと思います。
○ wiki にマッチする「汎用的かつニッチなテーマ」
そのように考えると wiki を使うことがマッチするテーマは「汎用的かつニッチ」というなかなか難しい条件の中で見つけることができるのではないでしょうか。
たとえば以下の wiki を使ったパソコン用語辞典は汎用的なテーマ、つまり誰もが内容をイメージしやすく多くの人が参加しやすい内容です。
しかし「ポッドキャスティング」や「wiki」のような用語はまだ登録されていなかったり、すでに存在する(wiki ではない)パソコン用語辞典の網羅性を追い越すのはなかなか難しいことだと思います。
一方、以下のようなポッドキャスティングに関する情報を集めた wiki はある程度の汎用性がありつつもまだまだ比較的ニッチな分野のため現時点で有効な情報源は少なく、うまくいけば wiki の特性を活かせるかもしれません。
見た雰囲気ではサイト管理者の方が一人で更新されている様子で、特に誰かに参加を呼びかけるつもりもなく、単なる「自分用」なのかもしれませんが、これが複数のユーザーによって情報を持ち寄る形になれば情報の充実度は今より飛躍的に上がっていくのかもしれません。
似た例では昨日紹介した W-ZERO3 Wiki も「汎用的かつニッチなテーマ」の部類に入れてよいかと思います。
W-ZERO3 のようにある程度ユーザー数が多い製品やサービスについての情報を集約するコミュニティ的なサイトは wiki を活用しやすいかもしれません。
このように wiki が抱える宿命として、
- 汎用的なテーマでないと人が集まりにくい
- しかし汎用的すぎるとすでにその種の情報は別の手段で集められている
ということがあり、そもそも wiki というツールを手にした際に、「これを使ってどんな情報を集めるのが効果的か?」という疑問で立ち止まってしまう人が多いのではないかという気がします。
これも wiki がブログほどには利用者が増えない理由の一つではないでしょうか。
Posted by Tomoy at 01:17 午後 wiki | Permalink
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