Google との競争をどう生き残れば良いのか
少々ショッキングなタイトルですが、次々に事業領域を広げる Google と自社が競合するかもしれない、ということは多くのソフトウェア企業にとって単なる杞憂ではなくなってきていると思います。
仮にサイボウズだったらどのようなところで Google と対峙する可能性が出てくるのか考えてみました。
○ なぜ多くの企業が Google の心配をしなければならないのか?
発端はこのニュースからです。
2005/11/14
グーグル、ウェブ分析サービス「Google Analytics」を公開へ - CNET Japan
表面上は Google が無償の Web アクセス解析サービスを開始したというだけのことなのですが、Google の場合これが Google AdWords や AdSense という広告サービスとセットになってくることで、別の意味を持ってきます。
アクセス解析サービスを活用することで Web サイトの持ち主がより効果的に広告を表示させることができれば広告による収益が増え、サイトの持ち主も Google にもメリットがもたらされます。
つまり Google が提供するサービスが有料でも十分通用するものだったとして、それが広告収入の増加に繋がるのであれば無料で提供しても何ら問題がないということで、有料で同種のサービスを提供している事業者にとっては大きな打撃となります。
ではなぜ今回のニュースが「Web アクセス解析サービス」の事業者以外にとってもインパクトがあるのかと言えば、次のような理由によります。
2005/11/14
CNET Japan Blog - 渡辺聡・情報化社会の航海図:Google Analyticsと影響範囲
では、アクセス解析以外の領域でGoogleが同じ無料化したセンスの良いツールを提供していくという可能性についてはどうだろうか。「アドワーズ、アドセンスを持っているからローエンドアプリは無償提供しても良い。コンピューティングのコストも安い」というポジションに対してどう対抗すればよいのか。自分達の市場も同じ目に合わないという保証はどこから得たら良いのか。合うかもしれないとなったら明日からどう方針転換をすれば良いのか。
つまり Web アクセス解析以外にも「無料で提供できそうなサービス」があって、それを Google が仮に提供してきた場合に同じようにダメージを受ける事業者が現れる可能性があり、そのような可能性がある分野は多岐に渡るだろうということです。
たとえば非常にタイムリーな以下のニュースがあります。
2005/11/15
金のガチョウを殺すのか--MS、デスクトップアプリの無料提供を検討 - CNET Japan
CNET News.comが入手した情報によると、ライバル各社に対抗するために新たにいくつものオンラインサービスを準備しているMicrosoftが、一部のデスクトップ製品について、広告付きのバージョンを無料で提供する計画を検討しているという。
あくまでも Microsoft 社内で「可能性の一つとして話題に上った」という程度のようですが、このような可能性が現実的に議論されるフェーズにすでに来ていると言えます。
繰り返し強調するならば Google が無料にできそうなソフトウェアを片っ端から広告付きの無償サービスにしてしまう可能性がないとは言えない、というのが今の状態です。
○ 起きるか起きないかではなく、起きることを想定して準備する
もちろん上に述べたような「可能性」に対して過剰な反応をすべきではありませんが、以下で渡辺さんが指摘されているように「起きるかどうか」ではなく「もし起きた場合どうなるか」を想定しておくことは意味のあることだと思います。
2005/11/14
CNET Japan Blog - 渡辺聡・情報化社会の航海図:Googleとの競争をどう生き残れば良いのか
全ての候補市場で同じことが起きるとは限らない。しかし、王道の戦略なため、広告収入とのバランスが取れる限りGoogle Analyticsと同じ方法を別のアプリ/サービスの市場でも実施すると考えるのが自然に思える。自社の市場で起きるか起きないかではなく、いつどのような形で起きるかを想定してシナリオを組んだ方が話は早いかもしれない。
ではサイボウズの場合どのようなシナリオを想定するかといえば、やはり
「無料のグループウエア ASP の登場」
です。
しかしこれは二つの側面から見て、サイボウズに対して直接的な影響を及ぼす可能性は低いと個人的には見ています。
一つはまず無料のグループウエア ASP はすでに存在していること、そしてこれまでのところそれがサイボウズの収益に大きな影響を及ぼしたという実例がないことです。
もう一つは Google がグループウエアのようなサービスを提供する可能性は低いと思われることです。
確かに Google は Gmail をすでに提供しており、以前から「Google Calendar」提供の噂もあり、また最近ではサイボウズ デヂエ にも似た Google Base の登場が近いと言われていることから、すでにグループウエア的なサービスを提供しているようにも見えますが、Google が注力する領域はもっとインフラ的な領域(たとえば IM のような)であるという感覚を持っており、「Google 自ら」というのはない、というのが私の直感的な推測です。
しかし Google の代わりに以下のような形でサイボウズにも影響を与える無料のグループウエア ASP が登場する可能性はないとは言い切れません。
- 既存の無料のグループウエア ASP が Google Analytics を導入して、広告の表示を最適化し、広告による収益を改善させることで競争力を持つ
(Google と直接的にではなく間接的に競合するイメージ) - いずれかの知名度の高いネットサービス企業が、やはりある程度知名度が高く、既にある程度のユーザー数が存在する Web 型のグループウエアを買収して、広告モデルで展開する(この場合広告システム等は Google のものとは限らない)
これらも可能性としてはあり得るものの、まだ「目下の脅威」とまでは言えないのは、利用者の心理として「広告が出るのはちょっと。。。」とか「安ければいい、無料でもいいというわけではない」というのが「防護壁」になっていると思われるためです。
○ Google との競争をどう生き残れば良いのか
しかしソフトウェアがサービス化し、かつローエンドの方から広告ベースの無料化に向かっていく流れは「起きるかどうか」ではなくすでに起こっていることであり、あとは「いつ頃までに」「どの程度のレベルまで進むか」という問題であると考えます。
それを踏まえて今回の Google のニュースは「対岸の火事」ではなく「他山の石」として見たいと思います。
ではサイボウズとして、もしも Google との直接的あるいは間接的な競争に直面した場合にどう生き残れば良いのか?
そのポイントは、前掲のエントリで指摘されているように単体の機能としてではなく「プラットフォーム」としての価値を高めることだと考えています。
全体をまとめると、機能競争からプラットフォーム間競争にシフトすることとなり、各社の戦略立案方法が変わることとなる。
最近このブログでも取り上げた通り、Windows Live も salesforce.com も ASP 自体がはじめから抱えているコモディティ化の問題を克服するために「アプリケーション」ではなく「プラットフォーム」となることを志向しています。
サイボウズも「グループウエアの ASP」に留まるのではなくもっと広いプラットフォームを提供すべく準備することが来るべき日の備えになるのではないかと考えています。
Posted by Tomoy at 08:09 午後 ASP, グループウエア/EIP, サイボウズ, プラットフォーム | Permalink
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